テクノメディカから考える少数株主の為のバリュー

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この記事の結論

バリューがバリューなのはガバナンスがクソで将来CFや保有非事業資産の還元可能性が低いから。
還元可能性の低い価値は少数株主にとってはただの数字で、株式評価では除外しなければならない。
ガバナンスの水準が一定以下の銘柄はDDMで評価すべし。

よってテクノメディカはあんま安くない

テクノメディカは本当にバリューか?

最近、テクノメディカが煽られ上げしている。

煽りの材料はバリュー株ファンドの損切りで、
需給あく抜け+そもそも割安というのが売り文句らしい。
前者については異論ない、短期の需給については詳しくないけど、多分その通りだと思う。
ただ後者については腑に落ちない部分があるので、それについて考えを書き殴りたいと思う。

少数株主の為の株式価値評価とは

そもそも株式の価値とは何か、
株主に対して与えられる将来キャッシュフローの現在価値である。
教科書通りの方法では、企業の将来FCFのNPVに非事業資産を足して債権者価値を引いたものを株式価値とする。
テクノメディカの場合はこれが時価総額に対して大きいから割安と言われているわけである。

ただ、これは我々少数株主の投資判断にはミスリードだと思う。
例えば、FCFが年に100出て利益剰余金に99溜め込み、1配当します、
将来への成長投資はせず、借入はなしというA社があったとしよう。
A社は株式の過半数を代取が保有しており、ガバナンスは効いていないものとする。

このとき毎年出る100のFCFは会社法上はA社株主のものだが、現実、株主の手に渡るのは申し訳程度の1%だけだ。
積み上がった利益剰余金も、アクティビストか相続MBOか、そんな10年単位の稀有なイベントなしには放出されないだろう。
教科書通りの株式価値評価では、これらの価値を株式価値に織り込んでしまう。

この99%のミスリードは、教科書的な株式価値評価がピカピカのガバナンスや企業のコントロール権を確保できるM&Aを前提にしていることに起因している。

キャッシュリッチ企業が割安なまま放置されるのはこのミスリードを意識してのことだろう。
A社への上場株投資をするとしたら、その価値は約束された還元である配当によってのみ評価するしかないようにである。

テクノメディカは非事業資産が巨額で教科書的に割安となっている銘柄であるが、
株主還元に関する方針は当期純利益に対する配当性向でしか示されておらず、割安の根拠となっている非事業資産の還元に関する言及はなされていない。
よって、あまり”意味のある割安”とは感じない。
DDMベースで割安になったら購入を検討したい。

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